3948135 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Beauty Source キレイの魔法

Beauty Source キレイの魔法

恋愛セミナー51【竹河】

10代で想い、40代で恋する人の娘と結婚する30年来の恋。
夫を失った妻は。

第四十四帖  <竹河-1 たけかわ>  あらすじ

あの玉鬘には、髭黒の大臣との間に男の子が三人、女の子が二人生まれました。
大臣は娘を入内させようと将来を期待していましたが、思いを果す前に亡くなってしまいます。
大臣家として栄えていた玉鬘の一族も、以前より勢いがなくなってしまい、入内の話も滞るようになっていました。

冷泉院は、昔の玉鬘への恋心を忘れず、その大姫にも執心していますが、
弘徽殿の女御や秋好中宮がいる後に嫁がせるのを躊躇する玉鬘。
夕霧の息子・蔵人の少将(くろうどのしょうしょう)も美しいと評判の大姫に思いを寄せ、
母・雲居の雁に頼んで玉鬘に結婚の打診をしていました。
玉鬘は大姫を臣下に嫁がせる気はないものの、
お気に入りの薫には許してもよい気持ちです。

正月、夕霧が息子達を連れて玉鬘の屋敷を訪ねます。
夕方になって薫もやってくると、玉鬘は和琴を弾くようにすすめました。
和琴の名手だった玉鬘の父・元の大臣に似た爪音を響かせる薫。
何故か柏木に面差しのそっくりな薫の、奏でる和琴の音までもが亡き人に似ているようで涙にくれる玉鬘。
そばにいた蔵人の少将は、薫が玉鬘に気に入られている様子にがっかりしています。

桜の花が咲く頃、玉鬘の大姫と中の姫が仲良く碁を打っているのを、物陰から蔵人の少将が覗いています。
幼い頃から庭に咲く見事な桜を取り合っていた姉妹は、碁の三番勝負で決着をつけようとしていて、
大姫方を密かに応援する蔵人の少将。
中の姫が勝ったので、双方の女房たちは「すぐ散る桜なんて。」「枝になってもこちらの桜よ。」
「花びらだって中の姫のもの。」「香りまで逃がさないほどの大きな袖はお持ち?」などと
歌の応酬をはじめ、蔵人の少将はおもしろく思いました。

大姫の冷泉院への輿入れを、妃である弘徽殿の女御も薦めます。
玉鬘は迷いながらも大姫の結婚を決心しますが、大姫の様子を見てさらに思い詰めている蔵人の少将は
「私の命は大姫のお心に任されています。」との歌を詠みます。
雲居の雁も結婚の祝いに添えて息子への仕打ちを恨む文を届け、心を痛める玉鬘。
それでも夕霧や弟である按察使の大納言から人手や車が差し向けられ、婚礼は華やかにとりおこなわれました。
冷泉院は若い大姫をこの上なく愛おしく思いつつ、長年恋していた玉鬘が早々に退出したことが心残りです。

薫は大姫が冷泉院に嫁いだことが残念ですが、蔵人の少将ほどではなく淡々としています。
玉鬘から中の姫なら、との言葉もあり、世間の大姫を慕っていた若者も心を移しているのですが、
蔵人の少将の気持ちは変わらず、恋焦がれているのでした。

恋愛セミナー51
1  蔵人の少将と大姫  思い焦がれて
2 冷泉院と大姫     幼き妻を育てる嗜好
3 薫と大姫        淡々とした思い
4 冷泉院と玉鬘     幾年過ぎても

権勢のある家も、大黒柱がいなければあっけなく落ち目になってゆく。
そんな中で奮闘する母・玉鬘です。
いまだ冷泉院から思いをかけられるほど若々しく美しい様子。
薫も大姫とともに、母・玉鬘も気にかかっているようです。

玉鬘が薫に目をかけているのは、源氏を思い出すよすがだからでしょう。
さらに目の前で奏でられる薫の爪音は、かつて篝火に照らされながら聴いた、
まだ玉鬘を実の姉と知らずに恋していた柏木の琴の音を彷彿とさせる調べ。
薫の柏木の面影は源氏との恋の思い出と相まって、若き日に多くの崇拝者を集めた
美しき己の姿を胸に去来させてくれるに違いありません。

冷泉院の長年の恋に対する執着、やはり源氏の息子ですね。
源氏の場合は親娘を両方愛する禁忌は何とか避けていましたが、
冷泉院の場合はどうしてゆくのでしょうか。

ちなみにこのとき玉鬘は50歳、薫は17歳前後。
源氏と源典侍と関係したのもこの位の年齢。
玉鬘とは比較になりませんか?
いえいえ、同じ50代、恋に磨かれた源典侍はなかなか美しかったようですよ。
当時の頭の中将と光る源氏のほかにもたくさんのお相手がいた模様。
玉鬘も、当時の帝(冷泉院)、兵部卿宮(蛍の宮)、髭黒、夕霧、柏木などなど、引く手あまたでしたね。

玉鬘の娘・大姫は19歳、冷泉院は47歳くらいです。
源氏が15歳の女三宮を迎えたのが40歳でした。
冷泉院は、父にもましてパワフルなようです。

さて、蔵人の少将。
身分が足らずに意中の人を許してもらえないこと、親に頼んで貰い受けようとするところ、
姉妹なら許そうと言われるところ、柏木に共通しています。
垣間見も同じなのですが、こちらは女房達の元気さに圧倒されていますね。

母である雲居の雁が息子に嫁を貰うことができなくて、抗議の文を送るあたりは、
権勢のある家の奢りや、侮りが見て取れます。
同じ元の大臣の娘でも、夫が生きているかいないかの違いはあまりにも大きい。
ここにも夫を失った玉鬘の悲哀がにじみ出ています。


© Rakuten Group, Inc.